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時速60kmものスピードを出すスケートのテクニック

©1993 NAOC TM NAOC 7-056

ピカピカの氷の上


スピードスケート選手は、鏡のように磨かれたピカピカな氷の上で長さ40cm、幅0.9mmのスケートの刃(ブレード)を巧みに操り、時速60kmものスピードを出して優勝を目指します。

ここでは、スケート選手がどのようなテクニックによって速いスピ一ドを出しているのか、また、スピードを出した時、選手の脚にどのくらい大きな負担がかかるのか見ることにします。



滑走している選手にはたらく力


下の図は、スピードを出して滑走している選手にどのような力がかかっているか示したものです。

選手には、空気抵抗力と氷の摩擦抵抗力が作用しています。
氷の摩擦抵抗力は、氷の状態とスケートの刃の状態によって決まるため、試合前には氷を整氷車によってぞうきんがけし、選手はスケートの刃を鋭く研ぎあげます。
空気抵抗力は、走っている車の窓から外に手を出した時に感じる風圧のことです。
選手は、空気抵抗力を小さくするために上体を大きく前にかがめて低い姿勢をとります。



スケートの刃の軌跡


下の図は、スケート選手の直線滑走の動作と、氷の上に描かれるスケートの刃が通る軌跡を示したものです。

水色で示したスケートの跡を見ると、スケートはまっすぐではなく S字を描くようにカーブしていることが分かります。
このカーブは、選手がスケートの刃を外側に傾けたり、内側に傾けたりすることによつて生み出されます。
これは、皆さんが自転車に乗る時、ハンドルを切らなくても横に傾けるだけで進む方向が変えられるのと同じです。
上手な選手は、スケートの刃を巧みに傾け、スケートの軌跡がS字になることを利用してからだを斜め前方向に運んでいます。



片足に体重の1.5倍の力


上の図は、カーブ滑走中のスケート選手にかかる力を示しています。

カーブ滑走では、直線滑走とは異なり、身体をカーブ外側に引っ張る「遠心力」という力がかかります。 カーブで転ぶ選手が多いのは、この遠心力がかかるからです。
この遠心力は、スピードが大きいほどそしてカープが小さいほど大きくなります。
スケート選手は、遠心力に振り回されないために、身体を内側に大きく傾けます。 このとき、選手の片足に体重のおよそ1.5倍もの重さの大きな負担がかかります。