スポーツ選手は、がっしりとした筋肉隆々の体型をしています。
しかし、100m選手とマラソン選手を比べてみると、筋肉の太さに違いがあります。
これは、ふだん行っているトレーニングの違いによるものです。
100m選手はランニングのトレーニングに加えて、筋肉に大きな負荷をかけるウェイト・トレーニングを行っているのです。
ウェイト・トレーニングによって筋肉はどのように変化するのか調べるために、 ふだんあまりトレーニングを行っていない5名の男性にダンベルを使ったウェイト・トレーニングをしてもらいました。
トレーニングは片腕だけ伸ばす動きを行い、もう片方の腕は何もしませんでした。 4か月後には左右の腕の太さの違いが目で見てもわかるほどになりました。
下の写真はMRIという方法によって撮影した腕の横断面(輪切りにしてみた図)です。
横断像は肩から肘までlcmごとに撮影しました。
楕円形をした腕の中央に骨があるのがわかります。
肩の上に見える筋肉が肘を伸ばすすはたらきをする上腕三頭筋という筋肉ですが、
トレーニング後には太くなっていることがわかります。
筋肉の上から下までの断面積を測定して、それから筋肉全体の体積を求めてみると、 5名の平均で約30%も増えていました。
下の写真は超音波を使って撮影した上腕三頭筋の縦断像(骨にそって平行にみた写真)です。
筋肉は筋線維と呼ばれる細長い細胞が束になってできていますが、上腕三頭筋の場合、筋線維が筋肉の中を斜めに並んでいます。
上はあまりトレーニングをしていない人、下は筋肉隆々のボディビルダーです。ボディビルダーの筋肉は筋線維が斜めになっている程度が大きいことがわかります。このように、筋肉が太くなると内部の構造も変化します。
筋肉はスポーツ活動に限らず、あらゆる身体運動の源です。
スポーツ選手のよく発達した筋肉はその運動の激しさを物語っています。
逆に、寝たきりになってしまった人の筋肉は縮んでしまい、そのために立ち上がることすら困難になってしまいます。
ふだんの運動の程度が筋肉にはっきりと現れるのです。