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スポーツマンの栄養補給

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栄養素の質や量、そして摂取するタイミング


わたしたちが健康に生きていくためには正しく栄養をとることが大切です。 とくに成長期にある10代の栄養素の必要量は大人よりも多く、運動をしているひとはさらに多くなります。

健康で強いからだをつくるためには、栄養素の質や量、そして栄養素を摂取するタイミングに気をつける必要があります。
ここでは、スポーツマンにとって必要な栄養素の中でもとくにエネルギー源、筋肉づくり、水分補給に関係の深い栄養素について紹介します。



栄養素それぞれに、はたらき


食品に含まれる栄養素にはそれぞれにはたらきがあります(図1)。
健康で強いからだをつくるためには、いろいろな食品からそれぞれの栄養素を補わなければなりません。



グリコーゲンを回復させる


トレーニング後は、エネルギー源であるグリコーゲンが減っています。 グリコーゲンのもととなる炭水化物を補給せずにトレーニングを繰り返すと、グリコーゲンはさらに減っていきます(図2)。 このような状態では運動量が少なくなります(図3)。
トレ-ニング後は炭水化物をしっかり補給しましょう。 炭水化物の多い食品は、ごはん、パン、うどんなどのめん類、もち、いも類などのでんぷん質食品です。 これらの食品の一回の目安量は、男子で茶碗2杯、女子で1杯強くらいになります。

図2
炭水化物を多く含む食事をきちんととらないと、運動によって減少したグリコーゲン(筋肉のエネルギー源)が回復しない。

図3
筋肉中のグリコーゲンが少ないサッカー選手は試合中の運動量が少なかった。



運動後すばやく、たんぱく質を補給


筋肉づくりには運動と栄養補給が必要です。 筋肉の主な材料となるたんぱく質は肉、魚、卵、大豆製品、牛乳・乳製品などに多く含まれます。 これらの食品を利用したおかずを毎食欠かさず食べるようにしましょう。
また、筋肉づくりのためには運動後できるだけはやくたんぱく質を補給するのがよいでしょう(図4)。

筋肉づくりは睡眠中にも活発になります。睡眠もしっかりとりましょう。

図4
運動した直後にたんぱく質のもととなるアミノ酸を与えたイヌでは、 運動してから2時間たった後に与えたイヌよりも筋肉づくりが進んでいた。



水分をとりながら運動する


水分をとらないで運動をすると体温が上がります(図5)。 熱くなった体を冷やすために汗がでますが、水分を補給しないと身体の水分が減少して脱水状態になります。
体温の上昇と脱水状態が続くと熱中症(意識がなくなるなどの症状)を招き、大変危険です。
運動前には250~500ml、運動中は1時間ごとに500~1、000mlを数回にわけて補給するように心がけましょう。 運動が長く続く場合は、糖分や塩分を含んだスポーツドリンクなどの飲み物がよいでしょう。

図5
2時間の運動中の深部体温(からだの中の温度)の上昇は、運動中に水分をたくさん摂取した方が小さかった。



食べることもトレーニング


まとめ

“これを食べれば強くなる”という食べ物はありません。
いろいろな栄養素が必要ですが、 スポーツマンとしてふさわしい栄養補給の質、量、タイミングを考えて食べることもトレーニングのひとつです。
食べることにも気をつけて、さらに強いからだをつくりましょう。