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「切断」という障害を持った人たちはどうすればスキーができるのか?

©1993 NAOC TM NAOC 7-056

手足の切断手術


手足の切断手術は、病気(骨腫瘍や血行障害など)のほかに、交通事故や労働災害、戦争によるけがのために、 やむを得ず行われる手術です。
その結果、手足を失うという障害が一生残ります。
でも、切断手術を受けた多くの人たち(切断者という)は、リハビリテーションをすれば、仕事はもちろん、 さまざまなスポーツを楽しむこともできます。



長野パラリンピック冬季競技大会


2月の長野オリンピックのあと、3月から始まる長野パラリンピック冬季競技大会では、 世界から切断者のスキー選手が競技をするために集まります。
彼らの素哺らしいスキー技術をぜひ見て下さい。

このポスターは、障害を持った選手と、冬の代表的なスポーツであるスキーについて理解してもらうため制作しました。 心からの応援をお願いします。



両大腿切断(りょうだいたいせつだん)


下肢(かし)(脚:あし)の切断の種類とスキー

両大腿切断

太ももで、両足を失う切断です(図1)。このままでは歩くことはできません。 そこで、義足が必要になります。これをつければ、歩くことができます。 また、練習すればスキーもできるようになります(図2)。



チェアースキー


チェアースキーが開発されてからは、義足で滑るよりもスピードがでるので、 チェアスキーを使う選手が多くなってきています(図3)。
長野パラリンピック大会でも、ほとんどの選手がチェアースキーのクラスで競技するものと思われます。



片大腿切断(かただいたいせつだん)


片大腿切断

太ももで、片足を失う切断です。日常生活では義足を使うのが普通です。義足をつければ日常生活や仕事もできます。 しかし、スキーは義足をつけてするより、健康な足1本でした方がはるかにはやく、うまく滑れます(図5)。

パラリンピック大会では LW2 クラスで競技します。 このクラスには世界の強豪がひしめいています。
ただし、このようなスキーヤーは、普段から健康な足の筋力強化トレーニングが大切です。 ちなみに、同じ様な障害を持った人の走り高飛びの優勝記録(1996年アトランタパラリンピック大会)は、1m 92cmでした。 現在、走れる義足がすでに開発されています。 ですから将来の研究次第では、スキーを楽しめる義足もできるかも知れません。



両下腿切断(りょうかたいせつだん


両下腿切断

膝下のところ(ふくらはぎ)で、両足を失う切断(図6)では、両方の義足が必要になります。 それをつければ日常生活や仕事も可能で、練習すればスキーもできます(図7)。

パラリンピック大会では LW3 クラスに出場します。



片下腿切断(かたかたいせつだん


片下腿切断

膝下のところ(ふくらはぎ)で、片足を失った場合には、日常生活はもちろん、義足を使えば、健常者以上にうまく滑ることもできます(図8)。
パラリンピック大会では、LW4 クラスに出場しますが、おそらくスキー操作からだけでは障害を見分けるのは困難だと思います。



参考資料
参考資料

競技でのスピード

滑降競技(1990年世界選手権)での男子優勝者のタイムから平均速度を計算すると(大久保調べ)

  • 片大腿切断者(LW2) 時速 93.1km
  • 両下腿切断者(LW3) 時速 83.9km
  • 片下腿切断者(LW4) 時速 97.1km

その他の記録

片大腿切断者の走り高跳び優勝記録  1m 92cm (1996年アトランタパラリンピック大会)

長野パラリンピックのクラス分けについて:

競技で不公平が生じないように同じ程度の障害の選手によって出場クラスが決められています。アルペン 競技では、8つのクラスがあります。切断の選手もそのいづれかのクラスで競技します。
  • 両大腿切断 → LW1(LW10クラスでも出場可)
  • 片大腿切断 → LW2
  • 両下腿切断 → LW3
  • 片下腿切断 → LW4
  • 両上肢切断 → LW 5/7
  • 片玉肢切断 → LW 6/8
  • 上・下肢切断→ LW9
  • 重度チェアスキー → LW10
  • 軽度チェアスキー → LW11