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高所トレーニングは持久力を高める

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高所トレーニングは名選手を生む


高所トレーニングは名選手を生む

クロスカントリースキーやマラソンのように長い時間運動できる能力を持久力と言います。 持久力が低ければ、どんなに力が強く、どんなに作戦がすぐれ、どんなに根性があっても長い時間運動するスポーツでは勝つことができません。 水泳、自転車、ボート等の長距離レースにも持久力は大切です。

この持久力は空気が薄い高地に住むと特に高まります。 アフリカのエチオピアやケニアの高地民族が陸上競技の長距離で勝ち続けるのはそのためです。 これらの国から日本に留学して駅伝やマラソンで活躍中の選手もたくさんいます。
スキー、ノルディック複合の荻原選手、そして黄金期を築いた、阿部、河野、三ケ田、児玉選手達、 マラソンの有森選手や浅利選手達も外国の高地へ出かけて、綿密な計画の下に高所トレーニングを実施して活躍しました。



持久力がなければ作戦も根性も役立たない


持久力がなければ作戦も根性も役立たない

動物はエネルギー源を燃焼させて運動を続けます。 燃焼させるには酸素が必要です。 多く燃やすほど大きなエネルギーが生まれて、運動を長時間行うことができます。
トレーニングでは作戦を立てたり、根性を養ったりします。 しかし何よりも力や速度を維持しながら運動を持続できる持久力という体力が無いことにはせっかくの作戦も役立ちません。



持久力には酸素が必要、高所には酸素が少ない


持久力には酸素が必要、高所には酸素が少ない

スポーツには多くの酸素が必要なのに、どうして酸素不足の高所でトレーニングするとよいのでしょうか。 生物には適応能力という力があります。 これはフランスの生物学者のルーが見つけた原則に基づいています。 それは、生物の体は、

  1. 使わなければ衰える
  2. 使えばよくなる
  3. 使い過ぎればこわれる

という3つの原則です。
酸素が少ない高地で運動すると、体は酸素を少しでも多くとりこもうとするので、とりこむ力がだんだん高まってきます。 これが先の(2)の「使う」に相当するので体力は「よく」なるのです。 しかし、やりすぎると(3)になって「体がこわれ」、スポーツ傷害をおこしてしまいます。



日本、ノルディック複合の高所トレーニング


日本、ノルディック複合の高所トレーニング

日本のスキー、ノルディック複合チームは毎年、オーストリーアルプスの高所に住みます。

写真1
日本ノルディック複合選手が生活する高所
オーストリーアルプスの牧場リゾート地帯。山脈頂上に広がる雪氷地帯はクロスカントリースキー場



氷河のスキー場でトレーニング


その頂上にある氷河のスキー場でクロスカントリースキーのトレーニングをしています)。

高所トレーニングの高度は標高1300~3000mが最適です。
日本ノルディック複合チームは標高2600~2900mで実施しています。

写真2
日本ノルディック複合選手が高所クロスカントリースキートレーニングを行っている様子



選手の耳たぶから血液を採る


この時、選手の耳たぶから少量の血液を採って、酸素をたくさん取り入れて使っているかを調べています。

高度が高すぎたり、酸素の取り入れが不足するとルーの法則の3つ目の「こわれる」になります。

写真3
日本選手が高所トレーニング中に検査のための採血を受けている様子



低圧室や低酸素室は高所トレーニングの応用


低圧室や低酸素室は高所トレーニングの応用

高所トレーニングと同じ目的で、低圧室や低酸素室という高所と同じような条件の部屋を利用して練習する研究も進んでいます。
既にいろいろなスポーツで応用している国もあります。